2012年2月9日木曜日

「モノ」と「ひと」と「ササヤマ」



丹波篠山の民家にたたずむナチュラルバックヤードの木の製品を見ていると、「モノ」と「ひと」の関係性について深く考えさせられる。

彼らがつくる木製品の素材は、SPF材といういわゆるパインやらスプルースやらの混合種でどこにでもありどこでも手に入る木材だ。様々な世界の樹種を見てきて、杢やカーリーがどうしたなどという趣の世界の人間からすれば、日曜大工で頑張っているお父さんが手にする程度の感覚でしかないだろう。

そんななんでもない材から繰り広げられる木のおもちゃや家具には、不思議な魅力がある。「質感」とでも言うべきものだろうか。直訳するといわゆる手触りなのだろうが、何か不思議な手触りがそこにある。そればサンドペーパーで磨かれた又は自然のオイルで丁寧に塗りこまれたようなものとプラスアルファーされた質感。

店頭販売であろうがワークショップであろうが、はたまたツイートからのネット販売であろうが、その不思議な質感は、その商品を手にする購入者に届けられる。商店街の八百屋や魚屋と主婦のおばちゃんとの間で繰り広げられるようなコミュニケーションのキャッチボール。そんな類の発信がナチュラルバックヤードでは交わされる。

つまり、作り手が自分が作っているものやそのプロセスについて、正しく誠実に伝える方法を持っているということだ。その工程が、商品の質感を際立たせているように感じる。

ものを右から左に流してアイダを抜くという商売の是非を問うているのではないが、ものをつくりそのストーリーを正しく受け手に伝えるということを日本人がどれだけ省いてきたかは明らかだ。機械化されたマーケティングシステムの中で好きでもないモノを消費者は買わされ続けてきたと言ってもいいかもしれない。

自分の目で見て、自分の手で質感を感じてモノを手にする。その使い方まで自分の手にすることによってそれは「ひと」へと受け継がれていく。僕らカホンプロジェクトもそんな団体でありたいと願う。

そして、僕らは彼らのもとへ、篠山へと越してゆきます。
兵庫県篠山市東岡屋31 手づくりカホンプロジェクト

0 件のコメント:

コメントを投稿